冬の昼 たっぷり降った 久々に 途切れて戻る 当たり前の間


  今冬は雨が少ない。

 そこで久しぶりに雨となり、しかも大量に降った。そこそこ降って一旦止んでみると、えも言えない静寂というか間があった。雨降りの前に戻った安心感というか、懐かしさというか。それをあえて言葉にすると、未熟なせいか、笑えるような一首になった。

  冬の雨 途切れ 間の空く さて先は 再び降るか 持ち直すのか

 降雨の途切れた間の存在を主張したいのに、早く「間」が出てきたおかげで霞んでしまった。しかも後半は苦し紛れの天気予報となった。そこで改変を試みた。降雨を膨らませ、「間」を一番最後に持ってきた。

 短歌を作り始めた当初はこの種の添削を繰り返していた。1首を十数回書き直したことがある。こうなるとエンドレスになりかねないし、元々何に惹かれて詠んだのかさえ定かでなくなる。

 そこで最近は、創作直後には本来いじらず、しばらく経って、独りよがりで趣旨を捉え難い場合にだけ、手を入れるようにしている。あまり手を入れてもそう出来が良くなるわけでもないのだ。

 元々啄木歌集から二つのことを学んだ。一つは1000首を作ること、もう一つは和歌は一つだけで表現するのではなく、一連の作品で表現するということ。つまり多くの作品には、秀作もあれば駄作もありうるわけで、秀作だけにするとかえって伝えたいことが伝えきれないのではと思い至った。(大先生と同じ目線で考えていたことを後日恥じた。)


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