よく散歩 父娘のような 二人連れ 娘の影の 薄さ気がかり
森に親しんでいるとよく出くわす人が何人かいる。足の悪いドイツ人風のステッキ男性、体の大きいわりに顔の小さな北欧風の夫人。そんな中男女二人のペアがいる。年配の男性と比較的若い女性である。ステレオタイプな見方をすれば、年老いた男性が病気上がりで、医師に散歩でもしなさいと勧められたが、一人では気が進まないということで、娘が散歩に付き合っている、という感じ。そのうち飽いて、男性一人になるか、二人とも姿を見せなくなるだろうと想像した。
予想は外れた。二人の散歩はずっと続いている。しかも日によっては午前と午後2回散歩に出ている。(午前と午後2回行き違えたことが何度かある。)
一つ気がついたことがある。男性は痩せてはいるが元気そうなのだ。そして女性は毎日同じようなベージュのワンピース姿で影が薄い。病弱のようにも見える。
お世話係は女性ではなく、男性なのではないかと思いに至った。
ところでこの二人には顔がなかった。
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