ふと目引く 川面揺らめく 艶帯びて 時の移ろい ほのかに薫る
東に100メートル行くと福田川という小さな川に行き着く。海はすぐそこなものだから、満ち潮時には、海水がかなり上流まで登ってくる。この川はいわゆる汽水状態になる。
鳥も魚も豊富だと思う。思いつくところを挙げると、真鴨、海鵜、ハクセキレイ、青鷺、浜千鳥・・・。魚はというと、ボラしか思いつかない。ただボラはたくさん泳いでいる。しかも結構大きいものもいる。ところで釣りの盛んな当地においてもボラを釣ってる人を見たことがない。臭くて食べれないというのが、よく聞く話だ。
一方北陸のある県の人に聞いたのだが、東海方面からボラを釣りにくる人がいるって。それも食べるために。
この二つの話から伝わる話。
結論は次のようなものだ。ボラの肉は本来臭くない。ただボラは川底の砂ごと口に入れて餌を取る習性があるようで、つまり川底が汚れているとボラが臭くなるっていうことらしい。高度成長期日本の河川は汚れに汚れた。だからこの頃ボラの肉は臭かっただろう。
さて最近はどこも河川も浄化が進んでいる。福田川もご多分に漏れない。したがってボラも臭くなくなっているはずなのだが、一旦認識が染み渡ってしまうと・・・・・。
ということでいつものように川面を見ていたら、穏やかで生暖かい日だったせいか、川の水は粘り気のあるように見え、あたかもオリーブオイルかアスファルトのような印象を受けた。
川面がサラサラしていなくてゆっくり漂い濃厚な感じを与えることがままある。でもオイルのようにとかアスファルトのようにとかの表現はいただけない。その通り思ったのならその通り書けば良いとも思えるが、所詮は作者の従前文化に対するどっぷり感に左右されるということになる。
その結果やっと出てきたのが「艶帯びて」という言葉だが、実態をどこまで表現できているか怪しい。
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