背押す風 西から強く 寒さ添え 寂しき葬儀 身震い寄せる

      

   昨日はことのほか風のきつい日でありました。寒くもあり人の出は極端に少なくタクシーもまばらで、拾うのに一苦労でした。小さなお寺で営まれた葬儀は、本堂がしんしんと冷え込んでおりました。親族四人とそれ以外四人の葬儀で目を引いたのは、四人いた故人の姉の関係者が一人もいなかったことでしょう。いずれもかなりのご高齢とは拝察しますが。

 故人は25年患ってきたという。おおむね療養所にいた期間とその後の病院暮らしとが半々という感じになる。療養所時代格別病気というわけではなかったから、比較的やりたい放題ではあった。池の周りでバーベキュウーを楽しんだり(もちろんアルコールも楽しむ)、施設から連れ出して寿司屋やバーを転戦したりした。正月にはおせちを持ち込んで新年を祝ったりした。子供に会いたいというストレスからか飲みだすと止まらず、ほとんどの場合嘔吐して施設の人に迷惑をかけてきた。

 その後淡路の病院に転院した。理由は知らない。その後に胃瘻手術を施した。食べること飲むことが楽しみであった故人にとってかなりの部分を失ったように感じた。

 面会も叶わなくなり、唯一できたのは月に一度発送する絵葉書だけとなった。







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