週末に きっと逢えると 夢の中 あとは幻 時は尽きない

    

                  アジサイ

  

    カラマーゾフの兄弟第2部第4編『病的な興奮」の7「すがすがしい大気の中でも」

 ある退役将校の話。妻は狂人、娘たちは不具者。酒場で飲んだくれてその結果、主人公の兄に屈辱的な暴行を受ける。それ以来その将校の息子は学校で壮絶なるいじめに遭う。元々極貧で生活は苦しく、娘たちの治療費も工面できない。八方塞がりの状況にある。主人公は見舞金を預かってこの将校に届ける役目を担う。時間を弄して心が通じやっと見舞金を受け取ってくれたと思ったが、最後の最後で返されてしまう。

 話としてはざっとこんなものだが、話の進展にひたすら引き込まれる。ロシアの市井の人の誇り高差に驚かされる、という面はあるが、この引き込まれる理由は、判然とはしない。個々人のではなく、誇りそのものを論じていることに、興味を強く引かれているのではないだろうか。

 目次のこの箇所には◯印が書かれている。毎回感銘を受けていることに。

             

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