酒を飲む 海峡にわかに 咽び出す 構っちゃおれない 箸を動かす

              泉国際カントリークラブの新緑



 海峡の向こうに横たわる島は、穏やかな風貌のありきたりな山々を備えている。そのように見えるが、実はその奥には黒々とした山塊が控えている。初めてみるといつもと違う山相にえっと目を見張る。垂水に掖斎海病院という病院があり、週に何度か通っていたことがあったが、帰りは歩いて帰っていた。自宅に戻るには垂水で一番高いところを越えていく必要がある。そしてそこから見ると対岸の島は、穏やかな姿の後ろに恐ろしい形相を隠していたわけだ。

 鉢伏山は六甲山系の一番西端の山だ(須磨浦ロープウエイが設置されている。)。隣の旗振り山と並んで西側の住民にはこじんまりした凡庸な姿を見せている。鉢伏山から旗振り山、鉄拐山、栂尾山、横尾山、鷹取山、菊水山、鍋蓋山、摩耶山と続き、六甲山全山縦走のコースとなる。この二山は、神戸市街と垂水をくっきりと分けている。一つは気象面。垂水で雪が降り、風が吹いても、元町では何もなかったということが何度もあった。二山は神戸市街を西風から防御している。二つ目は文化的な面。垂水は神戸の一部というより、西の地域に属しているように感じられる。その昔摂津国と播磨国の境は旗振り山であった。このようなことは、それはそれとして、以前淡路島の花桟敷公園から神戸を望んだことがあった。いつもは岩屋か淡路サービスエリアから神戸を見るのだが、同じ標高からか見慣れている光景と変わらなかった。ところが花桟敷公園は標高がある。そこから鉢伏、旗振り両山を見るといつもと違う光景が広がっていた、黒々と大きな山塊が控えていたのだ。恐ろしさを感じた。六甲連山ってあんなに大きかったんだ。

 山塊の概念を意識したのは、八ヶ岳の赤岳に行ったときだ。「この山塊は小さい。」


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