ツバメ飛ぶ 鋭く描く その軌跡 鮮やかぶりに 思わず見惚れ
高校卒業時にはおおむね卒業文集が編まれる。我が母校もそうだった。しかしこの文集には私の名前の文章は載っていても、私の文章は載っていない。友人たちに唯一認められた能力が文才で,校誌に6年連続で詩作が掲載され、20歳代初めに同人誌も出したのに。
私の名前で載せたのはO君で、大学卒業後新聞記者になった人だ。もちろん私も了解の上でのおふざけなのだが、どのような意味があるのか、どのような趣旨なのか、どのようなオチがあるのか、O君はその後関連のテレビ会社の社長になり、比較的早く亡くなったこともあり、今となっては知りようがない。
大学1年生の時にクラスの男女が福岡に駆け落ちしたことがあった。二人は大学に来なくなり、その後の音信も一切私には絶えた。学生運動のあるセクトに二人は属し、学内では孤立しつつあった。その前男子学生の方のマンションを訪ねたが、いくら呼び鈴を押しても出てこなかった。軽い気持ちで郵便受けから内部を伺ったら、誰かが声を顰めて体勢を低くしていた。尋常でない雰囲気を感じた。ピンときたのは警察に追われている人間を男子学生が匿っているということだ。
駆け落ちの前日(駆け落ちは後日知った。)我々は年始の挨拶に恩師宅を訪ねていた。いつもいないメンバーがそこにはいた。その女子学生だ。飲み食いしたのだが翌日駆け落ちするとは微塵も感じなかった。後日駆け落ちしたことを知って、思わずえっと発し、かつ動揺した。
それにしてもなぜ駆け落ちという形式が必要だったのだろうか。結婚して夫の実家の福岡に住む、ということで良かったのではないか。二人がいなくなってから、関連の情報が一切入ってこなくて、推測も叶わなかった。
40年経った頃噂でその女子学生(今はおばさんか、お婆さん)が実家に戻ったときいた。
長い人生、思い返せば一体あれは何だったんだということが、その気になればいくらか出てくる。
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