松の木の 下を潜って 風渡る 初夏の息吹 撒き散らしつつ
書棚には、長年読まれることもなく、捨て去られるのを待つような本もある。その中の一冊が次の本。
北朝鮮・中国はどれだけ恐いか 田岡俊次著 2007年発行
捨てる前に一読を試みたが、意外に教えられることがあった。今風に置き換えて披露しよう。
「北朝鮮はミサイル実験核実験を欠かさない。それはなぜなのか?
北朝鮮の身になって考えてみよう。南に韓国があり、GDP比は11倍、その南の台湾は5倍、日本は34倍、それらの後ろに控えるアメリカは143倍、ちなみに中国は105倍。地域1の貧乏国なのだ。妬み、イジケは仕方がない。問題なのはもっと実質的なことだ。長年の経済力の差によって、通常兵器でダントツの差が生じているのだ。2000年の初期の段階でろくな航空機も、潜水艦も、戦車もなかった。日本から見るとそんな国に攻め込む国なんてあるのかとさえ思えるが、実はある。韓国は、常に統一シナリオを備えていると言われる。実際にあるかないかは判然としないが、隣国としては最悪事態を想定するのは当然であろう。
金はない。しかし攻撃は想定すべきだ。となると考えられるのは、核兵器、生物兵器、化学兵器しかあり得ない。」
北朝鮮がミサイル実験をするたびに、核実験をするたびに、何故だ何故だを繰り返すだけで、腹立たしい思いばかり募らせるより、かような分析の方がよほど精神衛生上好ましいものだ。少なくとも国家運営上合理的な判断に基づいて行われているというのは、多少なりとも気が鎮まるのではないか。
こういった知見を田岡氏は与えてくれた。この本もしばらくこのまま置いておくか。
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