器用でない 自然さに覗く 非常さよ 恨みの筋と 噛み合わぬ筋

 


                                                                    アジサイ

 昔須磨寺に赴いた帰り、道端にござをひいて占い本らしきものを商っている男がいた。怖いもの見たさ、怪しいもの見たさで、善男善女が男の周りを囲っていた。私も少し覗いたのだが、物足りなく思い、すぐに去った。するとめざとくそれを見た男がさけんだ。「今去った者 帰り車に気をつけろ。」同行していた者が動揺した。多分囲っていた善男善女も同じであろう。

 かような心の綾を操る技の習得は容易い。現にこの種の技を使って世を渡る輩は跡を断たない。生命に匹敵するくらい、あるいはそれ以上の価値を収奪されることもある。

 

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