繰り返し 生まれ変わる 三十万回 使い回される 原子の諸君


 

 あらゆる物質は原子やその集まりである分子で構成されている。地球にある原子、分子の総量は原則ずっと変わらない。例外がほんの少しある。増えるのは隕石が原因であり、減るのは地球外にロケットが飛び出すからである。総量は変わらない。

 ある物質が壊れ、原子、分子に戻り、それらが再構成されて新たな物質となる。私の体のカルシュウムは、ずっと以前は獰猛な熊を蘇生していたかもしれない。他のある原子は、ナポレオンやヒットラーを組成していたかもしれない。

 だから前世は何だったとかの話も全くの与太話とは言えない。しかし、こういう場合「前世にあった」とされるものは、必ずしも物質的なものとは限られない。

 ところで存在するものの内で物質的でないものとはありうるのだろうか。今まで言ってきたように物質的なものは全て使い回しだ。そうでない霊的なものはどうだろう。はっきりしないが「不滅」的雰囲気を醸し出しているようだ。それなら地球上は霊で埋め尽くされているはずだと悪態をつく輩も出てくる。霊はそんなものではない、と反論が出てきそうだが、彼らの思考に合理的なものはないのだから、それを求めるのは酷だろう。

 太古の時代から1万2000年前までそんなことを考えた人はいそうもない。オオカミが考えていないと同様だ。オオカミだって考えているかもしれないじゃないか、という定番反論は却下。

 要は農耕が始まってから、霊もはじまった。

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