強手

 

 竜王戦第4局が始まった。重苦しい展開の中、藤井竜王が極付の強手を放った。角取り飛車捨ての予想もしない手に出た。思えばこの日の午後藤井竜王の手はほとんど動かず時間だけが経過し、一時は持ち時間で3時間の差がついた。AIの評価値は50対50で素人目には互角に見え、気怠さを感じないわけでもなかったが、不穏な空気も微かに感じていた。しかしまさか藤井竜王が自らの窮地を深刻に感じ、流れを変えるべき思い切った手を考えているとは、伊藤七段も考えてはいなかったであろう。確かに8筋の攻防は藤井竜王の玉にとって深刻なものになりかけてはいた。「危機だよ!」と指摘されるまで気づかないのが凡人なのだ。


     驚きの 強手放ちて 封じらる 新たな世界 垣間見せるや





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