オプト・アウト

 

 大谷選手がロスエンジェルス・ドジャーズ球団と10年契約を締結した。当初オプト権は契約に含まれていないと報じられた。オプト権とは、契約締結中にもかかわらず、選手側が一方的に契約から離脱することができる権利で、選手側にとっては力強い権利だ。もちろん球団側にはない。今回の契約過程においては大谷選手側に強いリーダーシップがあると言われており、この権限が契約に入っていないという事実は理解し難かった。

 ところで実際の契約内容は報じられているのとは少し異なるようだ。取り敢えずオプト権は入っていないが、オーナーか編成部長のいずれかが、その任を外れた時には生ずることになっている。これは二人に対する絶大なる信頼を意味するものだ。二人がいる間にはオプト権は発動できない、ということになる。逆に言えば二人ともに裏切られたら、どこへでもトレードされるということになる。万が一のことまで考えて契約条項を詰めるのが常識だ。素直に通例通りオプト権を入れるべきであった。

 このほかにも契約金のほとんどを契約期間経過後に受領し、しかもその間利子がつかないというなんとも奇妙な契約内容になっており、しかも大谷側の発案という。

 契約内容は不合理だ。無利子で10年後以降受領すれば計算上金額は半減する。アメリカ人には理解できないであろう。

 大谷側には計算があったのだろう。金額は伝えられるような高額を希望していなかったのであろう。しかし最高額という金額を拒否できない。最高額はヒエラルキーのトップであり、これが上がれば付随的に全体の金額が上がっていく。大谷には最高額で契約する責務があったのだ。しかしそれは大谷の本意ではない。大谷としては数字として最高額が出て来ればよかった。むしろそんな金額を実際に受領して、ドジャーズの選手確保に支障が出るのは困る。

 多分こんな複雑の思いの中で大谷は長い契約期間を過ごしてきたのだろう。

 考えに考え抜いて、ことに臨み、そして素晴らしいパフォーマンスを披瀝する。

 敬愛してやまない。





         大谷の 新契約 驚かさる オーナーやめれば オプト権生る

コメント

このブログの人気の投稿

挨拶ハガキ

捨てるに捨てられない