美の探求

 


 美しいものを見て同じようなものを作りたい、というのがスタートかも知れない。どの程度近づくかがテーマとなる。それに飽ききたらなくなると、誰もが注目していないものの中に美を見つけてくる過程になる。こんなところにこんなにも美しいものがあったのかという段階だ。それに飽くと自らの美を作り出そうという領域に入る。そして最初から実はそうなのかも知れない。美に向かおうという人がいたら、どんな声をかければいいのだろう。門外漢が述べる言葉がない。人生の終末と言われる頃になって、自らの夢を放擲すると広言した友人がいる。芸術家を目指した人だ。その昔サラリーマンだった頃ボーナスが出ると一部を送って応援のエールとしたことがあった。微笑ましいとか幼いとか、そんな甘温かい表現しかできない。

 「やるぞっ」と言って手をあげ、「やめたー」と言って去っていく。それ自体が生命体みたいだ。それとは「夢」だ。

      



        煽られて 翻弄されて 身を委ね 心地よさに 思考忘れる


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