「いい意味で」

 

      話を聞いていて一番嫌な言い回しが「いい意味で」である。「いい意味で傲慢」「いい意味で偏屈」などである。二つ指摘できる。一つ目は卑屈さだ。発言が責められることがあるかも知れないとしてあらかじめ逃げ道を作っているつもりだ。何を言っても責任はないよとバリアのつもりだ。二つ目は語彙の不足だ。ほとんどない語彙を使いまわして表現している証拠だ。

 この種の言い回しは本来の用法を離れて口癖になっている例も多い。ここまで至ると人格そのものが「いい意味で」風に改変され、中身のないカスカス状態になる。

 口癖といえば、話の最後に放つ一言。名文句たる「知らんけど」だ。散々際どい話をしていて最後に一句付け加える。それなりに言えばそれなりに言われそうだが、薬味のごとし。


   


      反り気味に 前にゆったり 歩を進め 女優の気位 あちこち放ち


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