隣人






     耳元に シンフォニー響く 頬刺す風 身縮込ませ ただ一途駆く
 

 同一フロアの住人女性があるとき話しかけてきた。「私看護婦なんですが、家にたくさんマスクがあるんです。」頃はコロナが佳境に入ろうとしていた。家族に透析患者がいてマスクを必死になって探していた頃だった。結局分けてくださいとは言えなかった。それまで付き合いがあったわけではなかったし、マンションではそんな付き合いは憚られた。その後その意図を尋ねたいと思いつつ数年が過ぎた。

 一昨日エレベーターに乗り合わせたその女性の夫に「最近奥さん見かけないですがお元気ですか?」と話しかけた。答えは意外で、「一年前に亡くなりました。」急死だったようだ。

 確かに人は突然亡くなる時がある。周りの痛手は痛いほど知っている。


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