通訳

 

 大谷選手の通訳が球団から解雇され、大谷選手が代理人を通じてその通訳を窃盗で告発した。当初その通訳は、大谷選手は通訳の窮状を見かねて借金の肩代わりを申し出てくれたと言い訳していた。

 窃盗での告発はその言い訳を正面から否定するものだ。通帳の管理を委ねていたのなら恣にすれば横領だし、借金の肩代わりを認めていたのなら大谷選手の承諾があったということで、告発すべき事項はない。

 借金の肩代わりを認めたことはなく、通帳の管理も委ねていないというのが大谷選手の主張となる。

 ギャンブル依存症というが、依存症は意思弱きものの陥る地獄だ。大谷選手に縋った足掻きは、大谷選手を見間違ったという意味で、通訳の人生の半分を否定するものだ。大谷選手こそは意思そのものの人だから。


     何の為 詮なきことに 終始する 生まれて老いて 土に戻りて




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