全力脱力タイムズ
フジテレビ系列の自称報道番組。毎回のゲストは二人。一方はナイスな俳優、女優、タレント、ミュージシャンなど。もう一方はお笑い芸人。メインキャスターの有田哲平や普段は真面目顔のコメンテイター諸氏によりこの芸人がコケにされるという構成。
要はいじめのシーンが中心となっており、この向きを否定的に捉える意見も当然にある。しかし、妬み、僻みなどの俗にいう負の感情は人間本来のもので、人類が成り立つ必須のものとも言える。ただその感情の対象に目を当てると悲惨な場合も少なくなく、そこで建前としてそのいじめのようなものは無くしましょうということになっている。
一方で消えない負の感情、一方で最近勃興した建前。この二つの間隙を縫おうとしているのがこの番組のコンセプトである。最新の注意を要するのはいうまでもない。この番組で最も力を入れているのが、脚本である。膨大な時間と、労力と情報を要する作業となっている。
前述したお笑い芸人というのは、漫才のボケ担当者と言っていい。元々漫才の構成の中でも人から虐げられ、馬鹿にされる役割である。この番組はこのボケ役にスポットを当てたとも評価できる。
有田哲平は新境地を開いた。最近の芸人は、人々を笑わせる前に、自分や仲間内で笑っている。これは芸の堕落である。真面目にやればやるほど面白くなるというのがお笑い芸でなくてはならない。有田はここに戻ろうとしている。何事も中庸で当たり障りのないことばかりになりつつある世界に警鐘を鳴らしている。
独り歩き 人待ち顔の 頼りなさ 生まれし時の 凛々しきドヤ顔
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