投稿

5月, 2023の投稿を表示しています

老女抱き 若き女の 森歩き 慈しむ目 かつて見たよな  + ご報告

イメージ
            ネズミモチ・平磯緑地・6月31日      昨日までの総訪問者数は5255名です。

語数気にし ステレオタイプ 並べるより 溢るる言葉 遊び呆けて

イメージ
                    エニシダ    認知症を患っている人と接していて感じること。まずい事態になった時、たとえばお漏らしをした時、その時は当人も困惑し、二度と同じような羽目に陥らないようにしようと思う。しかし現実にはその短期記憶は残らない。まずい記憶と二度とするまいという決意は霧散してしまう。だから同じような失敗を繰り返す。あの人は人間的におかしいのではというあらぬ方向に評価が向かってしまう。  逆のことも起こる。楽しいことがあってもそれは記憶にとどまらない。楽しい思い出は本来どんな役割を果たしているのか。

風に靡(なび)く 柔らかな葉の ネムノキよ 花咲き揺れる 待ち遠しかな

イメージ
 6月になると艶やかな花が咲く。それまでずっと待ち続ける。咲いたとて人が騒ぎ出すわけでもない。何人の人が楽しみにしているのか想像する。  

目の醒める 度に重なる 深夜闇 同じ悔い事 何度繰り返す

イメージ
 やや湿度の高い日々がここのところ続いている。「魔の山」は前巻を読み終えた。質的に難度が高いというよりは、量的に圧倒されるというイメージだ。魅力的な登場人物もそうでない登場人物もそれなりに揃っている。まず2人サナトリウムの責任者と被収容者のロシア人夫人だ。後巻でその印象がどうなるか楽しみだ。原文はドイツ語。英語訳の題を見ると「Magic Mountain」。なるほどなと思わせる語彙選択だ。  

若い頃 全貌見えず 不安だらけ 目の前だけの 世界に浸る

イメージ
                   エノキ          エノキの場合見分ける明白な特色があります。葉身のうち葉先から半分までは、鋸歯が存在しますが、葉柄までの半分には鋸歯がなく全縁です。この特色は今の所この葉にしかありません。        

こんなにも 優しいのよと 言えなくて 野猫にそっと 囁いてみる

イメージ
                  ブラシノキ              

風渡る 小径を過る 突き声よ いつもの優雅 置き忘れたか

イメージ
                                                                 ハナニラ    民事裁判の世界にもITの波が遅寄せている。提出書類や提出証拠をメールで送ることになる。略称mints。裁判所に送れば相手型当事者にも瞬時に届くシステムだ。大きな問題点は二つ。当事者のなりすまし防止とそしてセキュリティだ。  特にセキュリティ。立ち上げ時には万全を吹聴するのが常で、現実には漏えい事案が山積みだ。100%完璧なシズテムはないと言われる。言い換えると破れないシステムはないということだ。  でも時代の流れなのだろう。言い換えると先進国がすでにやっているのだろう。  あらゆる面に遅れていてついていくのが精一杯だ。  先進的な官僚組織が引っ張る。一方で古臭い残部が足を引っ張る。いい例が死刑制度だ。犯罪はすでに国境を完全に超えている。従って取り締まる側も犯罪の国際化に応じた国際連携が必須だ。これがないと犯罪者は国境を越えることで安心を得ることになる。今日本が結んでいる犯罪者引き渡し条約の締結国は2カ国に止まる。ヨーロッパ諸国においては、日本は真っ当な国とは、人権擁護が確立した国とは認められていない。その象徴が死刑制度の存置だ。そんな国に犯罪者を引き渡して、死刑にでもされた日には、引き渡した国の人権擁護姿勢が疑われるってわけだ。野蛮な国には犯罪者といえども引き渡せな。性的少数者に対する配慮もおざなりだし、報道の自由もいい加減(あらゆる権力者に極めて弱く、忖度だらけ)。  大嫌いな官僚組織が頼りだなんてどうにかしてくれ。

この日生く 驕り高ぶる日 死望んだ日 淡く漂う日 息引き取る日

イメージ
          ロサペンデュリナ・平磯事務所前  営々と続く生命に目的はあるのだろうか。恐竜が跋扈していたのは1億6000万年間。それに比べて二桁落ちた600万年にすぎない人類とはいえ、我々の前には30万世代の先祖がいる。そのうち歴史っぽく語られうるのは5000年。0・08パーセント。農耕が始まって1万2000年。人類はそのほとんどを、採集と狩猟で凌いできた。本来危険のない採集もどんどん危険なことになってくる。取れるところを取り尽くしたら、あとは今まで取れなかったところにチャレンジする以外にない。狩猟は本来とても危険なもの。いろんな問題を解決するはずの農耕も悩みは尽きなかった。病虫害、災害。そして人間同士の争い。難題はいつも人間の克服目的として生まれ、潰え去っていった。そして今も新たな難題が目白押しだ。  この過程は永遠に続くようにも思える。  この過程に一体何が潜んでいるのか。  

本当は 言ってみたいな 言葉ひとつ 猫にも言えず 何年か経ち

イメージ
              セイヨウミヤコグサ・平磯緑地    昨日は急に冷え込んで、ニュースによれば冷房から暖房に切り替えた家もあったとか。  ある番組ですごい人を知った。増田(そうた)幸美さん。日本プルーフポイント(株)チーフエバンジュリスト。やたらとサイバーセキュリティ方面に詳しい。

女性だけ 乗れる車両 並んでた 後ろの婦人 「乗れないよ」って

イメージ
       事故があって快速電車が大幅に遅れ、かえって各駅停車の方が早く着駅するというまあ非日常な状況下 、何気なく並んだところに結構長くいて、さあ電車が来るという時になって、後ろからのんびりとした「乗れないよ」という一言。若い言葉使いの割にご高齢な痩せたマダムはのんびりとのたまう。いつもは多分ピンと来ないと思うがこの時は瞬時に察して、さっさと他のドアを探した。車両に入ってから気付くよりご親切。                      

経ていたら 違った色を 選りすぐり 年月耐える 絵を描けたに(500首目)

イメージ
            キキョウカタバミ・21日・垂水クガノ公園    午後公園にいたがとても日差しが強く、まるで真夏のようであった。孫は無帽で遊んでいたが、ブランコしながら火照っていた。こんな日に無帽は無謀なり。  「魔の山」は主人公ハンス・カストルプがサナトリウムに入所中の従兄弟ヨーアヒムを3週間の予定で見舞ったが、その3週間経過の直前自らが同じように発病していることが判明した。ここまでで約380ページを要した。

曇り空 海沿い電車 突き進む 近づく降雨 それも絵になる

イメージ
  JR山陽本線の須磨駅から塩屋駅への下りは、線路が最も海に近いだけではなく、眺望が大きく開け、西は家島群島、小豆島もちろん明石海峡大橋、淡路島、南は紀淡海峡、友ヶ島、紀州の山並み、東は金剛山、葛城山を臨める。  海に近すぎて塩水の洗礼もありうる。日々異なる海の色、空の色を眺めて何十年と行き来してきた。

遠くで鳴る 駅アナウンス 海沿いの 寂れし 見えねど想う

イメージ
                                                トキワサンザシ・平磯緑地   秋に赤い果実をいっぱいにつける。ピラカンサの方が通りがいい。赤い果実は鳥が食べると言われる一方で、あれだけ長い間放置されていると言うことは、美味しくないという証左。まあ合理的な解釈はこうだ。美味しいと鳥が一気に食べる。一気に何処かに糞をする。すると種は限られたところにしか分布しない。一方そう美味しくはないが、腹が減った時には食えないわけはないということであれば、時間的にも場所的にも範囲が広がる可能性がある。  なおほぼ全ての害虫や病気に対する免疫力を持つと言われている。  

椋鳥が 右から左 二度過る 何故と言う癖 ホントにウザイ

イメージ
               コバンソウ・平磯緑地  認知症を患い一切外出しない友人を連れ出して食事に行った。リハビリパンツを着用するしないで揉めもしたが、一応無事に終わった。先の姿を見ている。

やる気の友 漫画本出す 集大成 挫折の君は 汗惜しまねば

イメージ
           アマミカタバミ・平磯緑地・16日  人生を肯定的に締めくくろうとする人がいる一方で、逆の人もいる。彼はある芸術家を目指した。当初は訳もわからず援助を惜しまなかった。ある時違和感を感じてその旨本人に伝えた。驚いたことに本人もそれを認めた。しかしそれ以降数十年何も変わらず、晩年その道を断念した。断念するまでの数十年間砂を噛むような日々であったか。  

一呼吸 する間にストンと 意識絶つ 麻酔はいつも 死出の習いかな

イメージ
                  平磯緑地               40年来の友人が書き溜めた4コマ漫画をまとめて本として出版した。それを預かって私の知人友人に配布した。幸せな人生のシンボルのように受け止められ、個々の作品の感想までには気が回らない。本の中には知らない逸話もあり、考えさせられる気分にもなった。限られた時間を精一杯仕事にも、レジャーにも使うという意味で、よく教えられてきた。その一面自分にも素直に教えを乞う人がいることをあらためて認識させられた。  友人の中で同じようなことをした人はいない。自分の一部にしろ晒して大方の批判を甘受するのも結構勇気がいることなんだと思った。

起きがけに 浴槽鎮座 暝黙す ほんの少しずつ 覚醒し行く

イメージ
              シャリンバイ・平磯緑地・15日    著者はなんやかや言いたい。「魔の山」の中のゴタク。「習慣とは、時間感覚の麻痺を意味する。あるいは少なくともその弛緩を意味する。青春期の歩みが比較的ゆっくりとしているのに、それ以後の年月が次第にせわしい急ぎ足で流れすぎていくのも、この習慣というものに原因があるに違いない。新しい習慣を持つことや習慣を変えることなどが、生命力を維持し、時間的感覚を新鮮なものにし、時間の体験を若返らせ強め伸ばすということ、それがまた生活感情全体の更新を可能にする唯一の手段であることをわれわれは心得ている。」  肉体的にはそうかもしれない。ランニングも同じように続けていると効果が薄れるから。

鶯声(おうせい)の 大盤振る舞い 森の径 思いを遂げて 夢路に遊ぶや

イメージ
  タカサゴシイ・平磯緑地  

ふと怒鳴る 「くっそー」の一言 森の中 人気(ひとけ)気にして そしてホッとし

イメージ
             トキワサンザシ・平磯緑地・13日         トーマス・マン「魔の山」主人公は、ハンス・カストロプ、山間のサナトリウムでの話。裕福さの精神に及ぼす良い影響についてまず語られる。努力、緊張すら一段下に見る観点に快哉を覚える。朝食にスタウトを楽しむのを習慣にしていることにも溜飲を下げる。  「貧しい人はどうすれば良いんだ❗️」と言うありきたりなツッコミは控えよう。そんなことを言い出したら、物事は先に進まない。何事にも奥がある、それを知り、楽しむのが醍醐味だろう。  全て読めば少しはマシなツッコミを可能ならん。

朝早く 目の覚めれば 物足りなく 何か忘れた 不安覚える 

イメージ
                          平磯緑地・12日・ネムノキ若葉増える     アガサ・クリスティのほぼ遺作といえる「カーテン」。ポアロも死んでしまう。殺人事件の犯人は、一連の作品の中でも文句なしに一番に驚かされる。

独り歩き 人待ち顔の 頼りなげ 生まれし時は 凛々しきドヤ顔

イメージ
             スイカズラ・平磯緑地・11日    老年になりお漏らしするのは仕方のないこと。その対策もまた当然だと思われるが、それが例えばオムツの着用となるとことはそう簡単にはいかない。そこには強烈な拒絶反応が待っている。母親の時もそうだったし、今友人の件でもそうだ。  理由はさもありなんと思われもする。でもこれを乗り越えないと先にはいけない。

田舎町 小さな本屋 稀な客 偶に買うかな 人気文庫本

イメージ
  本棚を整理していたら、一冊の本が出てきた。生涯に必ず読まなければと若気の至りで決めた5冊のうちの一冊だ。そして友人との会話の中で忘れられない一冊となった本だ。トーマス・マン著「魔の山」。以前読みかけて挫折したことがあった。今なら可能だろう。

老いの尿 裸足で踏み付け 気の滅入る 事荒立てる 構え今やなく

イメージ
 定期的に皮膚科で紫外線を浴びているが、その装置に入った時床の上のシートが濡れていた。係員に指摘したら、油が濡れていると言ったが、それは油ではなかった。一旦拭いた後、係員はそのシートを回収した。係員の様子から、まずいという表情が見え、この人はどういう対応をするのか案ずるような雰囲気も見せた。直前にその装置に入ったのは、やや歩行にも難が見える老人であった。  引き篭もり状態の友人を散歩に誘った時、気がついたらズボンの後ろが濡れていた。何気なくそれを指摘すると、さりげなく今飲み物がこぼれた、と答えた。  こんな時代に生きている。  

忙しなく 吹き殴る雨 森入れば ほっと一息 音 別世界

イメージ
       ポアロが登場する最後の小説「カーテン」を読み始めた。ポアロは萎んで見る影もない。ちょこまか歩きすぎたせいで今や車椅子生活だ。ヘイスティングズは相変わらずのボケナスで、何十年も変わらずにやっているなーと感嘆させる。  行間が空いて字が大きくなっている。最大の読者はやはり団塊の世代なんだ。語るに落ちた。    

雨後の ざわざわ風の 空きついて のんびり一声 鶯放つ

イメージ
 調べてみたら、早川書房からアガサ・クリスティの作品は99作出版されていた。そのうち今自宅にあるのは12冊。チャレンジしてみるに適当かもと思い始めている。13冊目は「ゴルフ場殺人事件」。ポアロとヘイスティングスがマジで対立し、ポアロに暴力を振るう。収まりの悪い場面が続くのだ。若くて綺麗な女性が多く登場する。本当にいい人から本当は悪い人まで。どの女優をどう役付けるか興味が深い。

縮み行く 世界の全て 刻々と 悲しみ飲み込む 勢い止まらず

イメージ
            ネムノキ・5日・平磯緑地・遅くない?若葉  一昨日は能登半島先端で強い地震が長く続いた。全国的に天気が崩れるとの予報もあり、雨がどの程度か案じられる。能登半島には高校時代に一度足を踏み入れたことがある。隠岐島と異なり印象の薄いところではあった。

鶯の 鳴き声滑らか 名調子 自ら聴き惚れ やや嫌味かな

イメージ
  これぞと思う1首は違和感のない1首だろう。ただ「えっ」「あっ」「くそー」などの感嘆句以外に、違和感のない語句などありうるだろうか。しかもそれは31文字に及ぶ。想像の域を超えている。

鳩嫌い 雀好みの 散歩マン 鳩寄り付き 雀逃げ惑う

イメージ
 新緑の候だが今年はネムノキの芽吹きが遅い。

多少なり 近付けたか 漱石よ 阿ず媚びず 達意の文章

イメージ
    敬遠してきた漱石をふと手に取れば意外と近々しいのに驚かされた。「我輩は猫である」「坊ちゃん」「こころ」「それから」「三四郎」そして今「草枕」、次は「門」。

共に在る この時この時 惜しむなり 止めおけない 無情の慣い

イメージ
              クスノキ・平磯緑地    関西では例年より寒かった春だが、東北北海道では結構暖かかったみたいだ。ずっと気にかけてきた弘前の桜も満開は例年よりだいぶ早かった。ゴールデンウィークでは遅かったわけだ。

縋る手 幾度か拒み 拒まれて 精一杯の 生きる様習う

イメージ
           ノースポールギク・5月1日・垂水小学校     漱石著「三四郎」を読んだ。巻末の解説は、とても小難しくて閉口した。こんなものを喜ぶ風潮があったようだ。一般的には、私的にも、「坊ちゃん」と並んで青春謳歌物だと言われてるのでは・・。  そんなことはさておき、ほとんど動きのない小説だ。「センセイの鞄」みたい。  さて主人公の三四郎は美禰子に一目惚れ。その気持ちは、直裁に文中に何度も語られる。ところが一方の美禰子の方はというと、直裁に語られることは一切ない。ついに最後まで。あるのは行動しかない。そこから彼女の気持ちを押しはかることになる。主人公にお金を融通したこと、そのお金の返済を素直に受け取ろうとしなかったこと、そして自らの肖像画を描いてもらうについて、拘ったポーズ・衣装は、初めて主人公と会った時のもの。  いずれもどのようにでも捉えられる事柄だ。  これで恋愛小説と言えるのか。最後はどうなったのか。  当たり前の疑問ではある。ただ飽きもせず面白く読まさせてもらった。これが読後感だ。